意図的に作る賑わい
2019.01.16.投稿
求められる空間
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目黒にある海外の街並みが再現されている屋外撮影スタジオを会場にして、「占い」をテーマにしたイベントのデザインがありました。
都心にあるため写真をよく見るとマンションとかビルが近隣に建ち並んでいたり山手線の線路沿いにあるので電車の走行音も結構します。
今回のようなイベントの趣旨や会場の環境から「賑わい」をどうつくっていくかというのが一番の課題になります。
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会場受付の角をまがるとメインゲート。
その先へ続く細長い街並みがお客さんが一番初めに空気感を感じるところで、奥に向かって地面が少し坂道になっているのが特徴です。 まず会場の様子がひと目でわかるような背景の前に、 イベントロゴがしっかり入ったゲートをつくり「来たよー!」感を演出します。
せっかく遊びにきたんだもの 楽しいとこ行ってきたよ!というのがわかる写真撮りたいじゃん?笑
お客さんの心理に合わせた空間要素をちゃんと用意して もてなすことが大切だよね。
そしてその奥にフラッグをかけていくことで 上部への視界をふさぎ近隣の建物などの気配を薄める。 と、同時に心理的に目線を下に向けて傾斜した地面と あいまって奥へ奥へという心理を作っています。
進んでいく先に楽しげないろいろなコンテンツを配置して、 楽しい感情をつくったのち、いったん空間が絞られたところを通過させます。 その先からはストリングライト電球を使って、 フードエリアをエントランスゾーンと同様の目的ではありながら 違う演出で上部をふさいでいます。
夜になるとアルコールも入るし瞳孔も開くし フードエリアはストリングライト電球で柔らかい雰囲気をつくりました。 エントランスエリアのゆるい傾斜は、 無意識に歩くスピードが早くなり、 平坦になったところでスピードが弱まるため、 そのような場所に人気コンテンツなどを配置しています。
これは、坂道渋滞とかのいわゆる「自然渋滞の法則」を 逆に利用しているわけです。
映画『寅さん』で有名な柴又帝釈天の参道も同じ構造になっているそうで、 団子屋の前がいつも混んでいるのはロケ地という以外にも、 そもそもゆるい傾斜がついた参道の谷になっていることから いつも賑わっているそう。おもしろいよね。
図面の上に「賑わい広場」と書いただけで賑わうなら苦労しない。
敷地や会場の特徴をよく観察して、 その特徴をどのように採り入れてどのように活かすことができるか。 観察することは、空間の設計・デザインの基礎なんじゃないかな。
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