IDEA

イメージを重ねるということ

空間をつくるとき、ボクがいつも大切にしているひとつが
イメージを重ねるという手法。
単に似たかたちを真似るのではなく、
ある空間にまったく異なる風景や物語をすべりこませる。
たとえば、音楽祭の会場にえんとつ町の気配を漂わせてみたり、
住宅の設計に乗りものの要素を重ねてみたり。
そんなふうにして、異なる時代や場所のイメージを
現代の風景の中に重ねていくと、
空間に奥行きのようなものが立ち上がってきます。
それがなにに見えるのか。なにを思い出すのか。
その感じ方は人それぞれですが、
だからこそなにを重ねるか、どう重ねるかに、
設計者の感性がはっきりと表れる。
こうした手法は、なにも現代的な発明ではなく、
実はとても日本的な発想でもあります。
たとえば日本庭園では、白砂を海に、石を島に、
植栽を山に見立てて、限られた空間のなかに雄大な風景を描く。
それは、空間にただ心象的な意味を与えるだけでなく、
見る人の想像力に働きかけ、
その庭園が広大な印象に映るような静かな仕掛けでもあるのです。
今日のゼミでは、日本武道館でそのあたりを解説してみました。
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