IDEA

現代建築のとらえ方

「ファンタジック空間デザインゼミ」過去記事より
まだ今みたいな感じの空間の仕事をはじめる前は、現代的な住宅設計が中心だったのね。
 
それもローコスト狭小住宅ばかりで工事費2000万円で15坪とか20坪の敷地に3階建をみたいな感じね。
 
その限られた予算と敷地のなかで、
どれだけ広く素敵に空間をみせれるかという仕事をしていたわけなんです。
 
狭い空間の中に構成するパーツが多いと圧迫感を感じさせてしまうので、
ひとつひとつのパーツの存在を疑って
これ本当に必要なの?みたいに設計を進めるんですね。
 
 
たとえば壁の下の方にある巾木や
上の方にある天井縁。
写真の説明はありません。
本来は壁と床、壁と天井の継ぎ目を隠す目的だったり、汚れを目立たなくするためだったりするんだけど
そもそも継ぎ目が目立たなくなるようにしておけば必要ないよね、、とか。
 
そうすると壁の上下から2つのパーツが消えるので
空間的にスッキリみえるし、
その分コストが若干だけど絞れる。
 
 
あと、建売だと見かけないけど
建築家が設計する住宅でよく見かける天井まで開くドアね。
 
ドアの上に垂れ壁がないというやつ。
 
ドアを開くと隣の部屋の天井とこっちの部屋の天井が繋がってるから
開放感があって広く感じる。
 
で、垂れ壁がない分こちらもコストを絞れる。
写真の説明はありません。
こういうわけで建築家が建てる住宅って
シンプルでスッキリしたデザインが多いんですね。
 
シンプルなデザイン思考って、
その根っこには低コストの実現があったりするわけです。
 
 
そんで、今度は逆にでかい建物の話をしましょうか。
 
たとえば東京駅付近の街並み。
 
いまこの一体の建物はどんどん建て替えられてて、
低層部は昔のデザインを残して、
高層部をオフィスにした高層ビルになっていってるんですね。
 
で、ひとつひとつはどれも個性的なんだけど、
ちょっと下がって「街並み」としてビル群をみると
どれも縦ストライプデザインのビルが多いことに気づくと思うんです。
 
 
「サスティナビリティ」って言葉きいたことありませんか?
ざっくりいうと環境問題やエネルギー問題の概念みたいなものなんだけど、
建物を建てる上でも「サスティナビリティ」を考えていきましょうね、
という社会的な姿勢になったんです。
 
 
ちょっとムズくなってきたけど、がんばってー!笑
 
では具体的に建築でそれをどうやって実現するのというとこなんですが、
いくつも指標はあるんだけど、簡単にいうと
庇をたくさん作って
建物の温度上昇を抑えて
エアコン消費量を抑えましょうってこと。
 
エアコン消費量が減ればCO2削減にもなるし、
年間のビル自体の維持費も抑えられる。
 
国はそんな建物を支援しますよ、つまり助成金出しますよ、って話ね。
 
そこで設計者は工夫するわけじゃないですか。
 
使える床面積をなるべく多くとりながら、
建物に日陰ができるような庇を作る。
 
日陰を作るという目的であれば方角によっては
庇は水平に作るより垂直に作った方が
より多く日陰を作れるじゃん!とかね。
 
そんなわけで縦ストライプデザインが生まれているんです。
 
 
つまり500年後の建築家には
21世紀初頭の建築って
不景気で経済的合理性なんかを求めなくちゃいけなかった、
なんてつまんねー時代だったんだなーって
思われたりするんじゃないかなと思います。笑
 
お金がある時代は
窓枠とか柱とか建物自体をすごい装飾してるでしょ。
 
文化が豊かだよね。
写真の説明はありません。
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でもね
現代が面白くなってきてるなーと思うのは、
まだまだ一部だけど、お金の使い方で遊びだしてきているじゃないですか。
 
そうなると経済的合理性を求めていた建物ばかりではなく、
おもしろい建築が数年先くらいから徐々に現れてくるんじゃないかなと思ってます。
もちろん、いち早くおもしろいのを作っていきたいと思ってるので
楽しみにしていてくれよな!!
 
 
 

(諸説あり)
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