IDEA

ボクが美しさにワクワクしない理由

間接照明は、空間をきれいに見せる力がとても強い。
少し工夫すれば、やわらかく、整った印象をわりと簡単につくることができるのが間接照明だ。

だからこその注意が必要です。

間接照明を使いすぎた空間は、完成度が高く見える一方で、どこか記号的になりやすい。
タワマンのエントランスホールとか、ビジネスホテルのロビーとか、オフィスビルのホールとか。

こういう雰囲気の場所だと一度認識されてしまうと、人はそれ以上その空間を読み取ろうとしなくなります。空間がわかったつもりで消費されてしまう状態です。
それでいい場合だってあるんですけどね。

人は、空間を理解したと感じた瞬間に、その空間との関係を終わらせてしまう。
美しい、落ち着く、おしゃれ。
そうした言葉が一度頭の中に浮かんだ時点で、空間はすでに分類され、消費されてしまう。

設計において大切なのは、空間を完成させることではありません。空間を考え続けさせる・感じ続けさせる状態に置くことだと考えています。

人は、少しわからないものに出会ったとき、立ち止まります。
なぜこの場所は落ち着くのか。
なぜ視線がここに引っかかるのか。
なぜ、言葉にしにくいのに印象が残るのか。

その「なぜ」を生むためには、空間があらかじめ意味を持ちすぎていてはいけない。

間接照明は、光が均質に回り、陰影が整理され、空間の輪郭を一気に定めてしまう装置です。
完成度の高さと引き換えに、思考の余地を奪ってしまうことがある。

照明は、空間を説明するためのものではなく、空間と人との距離を調整するためのもの。

すべてが見えすぎないこと。
すべてが理解できてしまわないこと。

その少しの引っかかりが、空間にとどまる時間をつくり、記憶として残っていく。

間接照明が危うく感じられるのは、光そのものではなく、空間を「わかりやすくしすぎてしまう力」を持っているからなのかもしれません。

仕事始めは天才万博で使ったギターの弦を、元の弦に張り戻す作業。
今年もよろしくお願いします!

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