艸の枕

一級建築士事務所 艸の枕

chiaki kohara×只石快歩
VOL.1

chiaki kohara×只石快歩

「見えないボーダーをなくすのが空間のすごいところかも」

住宅を中心としたクローズドで限られた空間だけではなく
もっとオープンでたくさんの人が楽しめる空間のデザインをしたいと思い
様々なアクティブなイベントに参加して
少しづつ自分の想いが社会の中でフィットする感覚にあった頃
その感覚を形にしようとチャレンジしたのがArt Hack Day 2015

そこで出会ったのが芸術家chiaki koharaだった

DATE 2017.02.15 / PHOTO by Kaiho Tadaishi

ステップアップを求めて望んだArt Hack Day 2015

只石:ボクは強い気持ちでチャレンジしたArt Hack Day 2015(以下アートハック)だったんだけど、chiakiさんはどんなきっかけでに参加したの?
chiaki:わたしは、芸術表現という活動を続ける中でただ絵を展示するだけではなく、ライブペインティングというアートパフォーマンスにも力を入れてきました。でも、そのライブペインティング自体にもっとなにか新しい可能性はないかなと考えていたんですね。自分ひとりだけじゃなく一緒に表現方法を探っていけるような人がいたら、自分の力だけでは見えない世界が広がっていくんじゃないかと思って。そんなとき、ちょうど友人からアートハックというハッカソンの存在を教えてもらったんです。正直、ハッカソンって何!?って思いながらも、とにかくチャレンジしてみたくて「出てみるっっ!」みたいな感じで(笑)ドキドキしながら参加したのを覚えています。
只石:じゃ お互いステップアップを求めて、鼻息荒くして会場にいたわけなんだね(笑)

出会う前から出会っていた

只石:アートハックの自己紹介でお互い作品集を見せあう時に「あ、天才万博のポスターの人だ!」って。
chiaki:わたしも「おとぎ町ビエンナーレ」というイベントの存在を知ってたので、「あー!この作品、只石さんが手掛けたんだ!」って。
只石:そうなんだよねー。で、アーティスト、エンジニアがたくさんいるイベントでチームを組んでいく中、chiakiさんは空間デザイン(デザイナー)に対してどんな印象をもってたの?
chiaki:そうですね~…わたしは自分の個展などでは、コの字型に配置した白いパネルに囲まれたブースの中で、作品を壁にかけて展示するという見せ方が基本だったんです。お客さまができるだけ作品に集中してもらえるように、全体的にシンプルな空間がいいなって思ってて。だけど、とあるアートフェアに参加したとき、展示スペースであるホテルの一室を丸ごとchiakiらしく自分の空間にしていいよ。と言われたんですね。そこで、思い切って絵を飾るスペースも含めて女の子のお部屋をイメージした空間にコーディネートしてみたんです!ベッドシーツやカーテンを変えてみたり、お菓子や可愛い小物をいっぱい置いてみたりしました。それがわたし自身とっても楽しかったし、足を運んでいただいたお客さまにもすごく好評だったんですね。(絵もいくつかお嫁入りできたし(笑))やっぱりただ作品を並べて飾るだけじゃなくて、より作品に入り込んでもらうための世界観(空間)づくりを大切していくことが必要だなってあらためて感じました。
只石:じゃあアートハックでボクとユニットを組むことになったとき、建築士という存在は、違和感なくメンバーに?
chiaki:もう全然違和感なく、むしろぜひ一緒にやりたいなって密かにワクワクしてました!

(左)『天才万博2014』メインビジュアル(右)『おとぎ町ビエンナーレ』メインゲート

アナロギッシュ!を大切に

アートハックで結成したファンタジックアートユニット「CALAR.ink」が始動

只石:鼻息荒くした甲斐あって(笑)、最優秀賞を受賞して翌年の茨城県北芸術祭/KENPOKU2016(以下KENPOKU)への出展と繋がっていくわけだけど、構想8ヶ月制作2ヶ月半の作品づくり!(笑)
chiaki:あらー…なんと構想が長いこと…!(笑)
只石:平日はメンバーがそれぞれの仕事をしているから、どうしても作業が週末だったり深夜だったりっていうのもあって。
chiaki:うんうん!あと会場もね、遠かったし(笑)
只石:そんなこんなで長期にわたる制作期間だったんだけど、メンバーもいて意見もそれぞれある中で、chiakiさんが大切にしたかったことってある?
chiaki:わたしはやっぱり、アナログの世界観というか、機械では表現できない人間らしさみたいなものですね。データや計算ではない、見えないエネルギーみたいな“想い”もひとの心を動かせるって信じてるから、デジタルな表現の中でもあえて、一部はアナログにこだわる部分をつくりたかったというか、アナログはエネルギッシュだ!みたいな。略して“アナロギッシュ!”な部分を大切にしました。
只石:アナロギッシュ(笑)chiakiさんよく使ってたよねその言葉。エネルギーの部分はもちろんそうだけど、アナログで表現する部分に関しては普段のchiakiさんの作品づくりでも特徴的な、身近な素材などをキャンバスに張り合わせていくコラージュといった手法の延長線上にあるものだったりするのかな?
chiaki:します!します!作品にあえて手作りの感じを残すという点で。
只石:今回のKENPOKUでの作品は、キャンバスを飛び出して空間にまで広がったコラージュっていう捉え方でいいのかな?
chiaki:確かに平面的な絵から飛び出したような世界観を表現したかったのでそれもあったんですけど、むしろKENPOKUではその逆のような感覚でした。展示場所が中学校の教室という特殊な条件だったので、もともとある空間の中にどうやって作品のストーリーを表現していくかみたいな、ある意味、大きな箱庭をつくっていくようなイメージでしたね。
只石:確かに!おっきな絵本の中に入って、破れたページをくぐって、クローゼットの扉を開けると映像なのか実物なのかというライブペインティング会場で。いわれるがままに会場にあるものを探したり、置いてみたりしているうちに現実とファンタジーの間にいるようなね。とにかく五感を刺激するような仕掛けをアナログ/デジタルテクノロジーともにインタラクティブに放り込んだんだよね。

見えないボーダーをなくすのが空間のすごいところかも

只石:アートハックやKENPOKUの前後では制作する意識とかに変化はあった?
chiaki:ありましたよ!求めていたものが見つかったっていう感じです。みんなでどんどん前に進んでいけるというか、ひとりで作品をつくっていたときに感じていた限界の壁がボンっと取っ払われたような。ああ、きっとこの先もわたしたちには、可能性しかないんだなってすごく感じました。…よね!?……あれ、わたしだけ?!?(笑)
只石:大丈夫、大丈夫(笑)それはボクも感じてるから。じゃあ、これからの未来は…
chiaki:!!ヤバい……………ついにきましたね、これから先の未来のはなし…!(モゴモゴ…)
只石:どんな作品/表現にチャレンジしていきたい?
chiaki:今まではキャンバスの中でどんな表現にしようかな~ってことを第一に考えて制作していたんですけど、絵を飾る空間全体も含めて、ぜーーーんぶ わたしの作品だ!!って思ったので、展示スペースをわたしらしく彩ることにも もっと力を入れたいなと思っています。入り口や壁や細かい装飾にも“chiaki kohara”の世界観を丁寧に落とし込むことで、作品とお客さまとの距離も ものすごく近くなったような気がするんです。空間そのものがお客さまと私の作品を繋いでくれたような…!
只石:鑑賞しやすいように白い壁にしていたのが、実はお客さまとの間に見えない壁を作っていたっていう?
chiaki:けっしてそれが全てではないですが、作品とお客さまとの見えないボーダーをなくすのが空間のすごいところかもって。なので、これからはもっとわたしらしい空間づくりを心がけつつ、めいっぱい自分の世界観を表現していきたいですね!

茨城県北芸術祭/KENPOKU2016 出展作品『いろのない世界〜Achromatic World』

関連GALLERY
>>> 『運命的アクシデント』/Art Hack Day 2015
>>> 『おとぎ町ビエンナーレ』
>>> 『いろのない世界〜Achromatic World』/茨城県北芸術祭 KENPOKU2016

chiaki kohara

1986年7月7日生まれ。アクリルガッシュとボタンやレース、お菓子のパッケージなど様々な素材で描かれる大きな耳に奔放に手足の伸びた女の子たちや動物。その極彩色の世界観は、女の子なら一度は憧れたであろうワンダーランド。現在は国内外のアートフェアにも参加し、多くのファンを生み出している。

CALAR.ink

2015年ハッカソン「Art Hack Day 2015」にて、芸術家のチアキ・コハラを中心としたアーティスト/エンジニア5名で結成。初作品となる『運命的アクシデント』がアート部門最優秀賞を受賞。Engadgetや日本テレビ「SENSORS」等のメディアにて取り上げられる。2016年茨城県北芸術祭KENPOKU ART 2016にて『いろのないせかい〜Achromatic World』を出展。